2類指定は果たして正しいのか? (2021-01-18)

2類指定は果たして正しいのか?

 日本の医療法では都道府県知事は病院の医療内容に口を出せません。そのため公的医療機関に新型コロナ患者の受け入れを指示するしか打つ手がなく、一部の公立病院と高い使命感を持った一部の私立病院に負担が集中してしまい医療者が疲弊してしまっているという構図が現状の「医療崩壊」と言われている状況です。

 公的医療機関が中心の欧米と異なり、日本では8割以上を民間病院が占めています。しかし新型コロナ患者を受け入れない民間病院が悪いと短絡的に決めつけてはいけません。指定感染症第2類相当とされている限り、致死率5割超のエボラ出血熱並みの対応を求められるとしたら、金銭的な余力がなく赤字なら倒産せざるおえない民間病院にはあまりにも負担が過大であることに加えて、万一クラスターでも起こしてしまったら意地悪なマスコミの格好の餌食となって風評被害も甚大なものとなり、最悪の場合倒産も避けられないという厳しい現実も存在するのが現状だからです。
 
 病院でクラスターが起きて医療従事者が「濃厚接触者」と認定されてしまうと基本的には2週間自宅待機しなければなりません。多数のスタッフが「濃厚接触者」とされてしまった途端に病院としての機能が全滅してしまう危機が生じます。従来の季節性インフルエンザは5類に分類されていて毎年日本で1千万人程度の感染者が報告され1万人程度が亡くなっています。これは明らかに新型コロナより多い数字ですが、これによる「医療崩壊」など聞いたことがありません。
 
 要するに2類相当から5類に冷静的確に判断して変更するだけでたぶん今回の騒ぎの多くの部分は解決すると考えられるのですが、専門家委員会や政府や医師会等々の全てが誰もここの部分に踏み込めないでいるのはなぜでしょうか?・・・おそらくそれは「もしウィルスが変異によって猛毒に変異した場合」を恐れ、誰もその責任を負う立場になりたくはないからだろうと容易に想像することができます。
 
 いわゆる「コロナ脳」の一部の市民から「新型コロナにはまだワクチン間に合ってないし特効薬も存在しない。そんな状況下で患者の容体が自宅で急変したらあなたには責任がとれるのか」と詰め寄られたらと思うと確かに厳しいのかもしれないと思う部分もあるのですが、「ほかの病気の人や健康だと思われている人でさえ、自宅で突然死することはあるのだし、例えば患者さんに血中酸素濃度測定のためのパルスオキシメーターを配って酸素濃度の低下をみたら対応という方法でもいいのではないか」と提案できる専門家委員会であってほしいと思います。
 
 不可能なゼロリスクを求める圧力に屈してしまうのは、例えば「交通事故が怖いから自動車の運転を禁止します」とか「のどに詰まったらいけないからお餅は製造禁止です」と同等なきわめてナンセンスな話になってしまうと思うのですが・・・

 2類相当から5類に引き下げれば医療の逼迫はかなり抑えられて安定すると思われます。しかしゼロを目指して感染を抑えようとはしなくなるため感染者は爆発的に増える事が予想されます。そのときにマスコミや一部の市民団体等から責められ吊るしあげられるのが専門家も政府も怖いのだと思いますし、その気持ちは十分理解できます。

 しかし医療の逼迫を抑えることができれば、別のたくさんの疾患の患者さんを救えるようになります。残念なことにこれは数字に表れず評価されません。しかし中枢部にいらっしゃる誰かが行動していただかないと日本は経済も医療も沈没してしまいます。

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